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評価:
山之内 正文
双葉社
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(2004-07)
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現実を拒否して逃げ込んだ繭の中でみた夢は
もちろん悪夢だったんだろう。
悪夢の覚めた先にはこれまたひどい現実があって
監獄と言う他者からの支配を受けて初めて少しだけ楽になれるのかもしれない。
そんな話。
山之内正文さんは初めて読んだけど、とても面白かった。
ストーリー展開がさくさくしていて気持ちがいい。
私立風の花幼稚園で働くベテラン保育士、狩場諒子。
その幼稚園に通うおとなしい寡黙な園児が一人失踪する。
近くの公園にお散歩中の出来事だったが、誰も目撃者がいない。
しばらくして彼の祖父から「父親が連れ帰った」と連絡があるが、諒子は不審に思い調べ始める。
諒子の一人息子、篤志。
彼は友人の純也と共に、ある女性の元を何度も訪れていた。
女性の名前は、楓。16歳で子供を生んで、現在は二十歳。
純也の父親は運転手をしていて、楓は雇用先の一人娘にあたる。
楓はひきこもっておかしな感じになっている。
小さい頃よく遊んでもらった純也は楓を心配し、篤志は純也を手伝い彼女のことを調べ始めた。