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評価:
山本 文緒
新潮社
¥ 1,470
(2008-07)
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久しぶりに山本文緒さんの本を読んだ。
年単位ぶり。
読んでいた頃の最後の方は、人間の暗い部分を書いたものが多くて
でもそれがすごく好きだった。
久しぶりに読んでみたら、根っこの暗さを、ぱっと見の明るさでカバーする
という感じに進化していた。
短編集。
「アカペラ」
中三のたまこはしょっちゅう家出をする頼りない母親がいなくなってせいせいしていた。
おしゃれでちょっと呆けたように見えるじっちゃんが誰よりも大切。
年をごまかして、もちろん学校にも内緒で古着屋でバイト。
高校には行かず、すぐに働こうと決めていた。じっちゃんのために。
「ソリチュード」
すけこましの駄目男、ハル。
二十年ぶりに実家に帰る。
昔の彼女に再会する。一花という彼女の娘と仲良くなる。
父親が死んで、一花という存在があって、実家の雰囲気は変わっていた。
ハルは、逃げてきていた。現実から。
「ネロリ」
志保子と日出男は姉弟。二人ともいい年だが結婚していない。
日出男は身体が弱く、働けない。
志保子が日出男を養っている。
お互いがお互いしかいないが、付かず離れず。
日出男のもとには病院で知り合ったココアという彼女が訪れる。
志保子の失業をきっかけに、結婚話がもちあがる。