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評価:
誉田 哲也
文藝春秋
¥ 1,550
(2008-07)
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検索かけたら、「武士道シックスティーン」「武士道エイティーン」っていうのもあった!
シックスティーンから読みたかったなぁ!
ストロベリーナイトがひどいスプラッタものだったから、このタイトルでスプラッタだったらいやだなぁと思ったが、杞憂だった。
剣道青春物語。
かつて同じ高校の仲間だった磯山香織と西荻(甲本)早苗。
早苗の両親の都合で別の高校に行くことになった。
剣道を通して理解し合っていた二人は、
別の高校として今度は対決することとなる。
剣道をテーマにした青春もの小説って結構多い気がする。
私は剣道を一度もやったことがないから、感覚的にはわからない。
感情的にはなんとかわかるといった程度。
磯山の「武士らしい」人間性はキャラクターとしてとてもおもしろかった。
早苗はほわほわしながらも根は頑固で、決意を固めたら強い。
早苗の転入先の剣道部が以前の学校のものと全く違うこと、
仲良くなったその人がその雰囲気を作り出している原因の人間であること
自分の考えを否定され、その上利用されていることにいらだちと戸惑いを感じること、
かつての仲間であり、自分が心底慕っている磯山に本心を言えないこと
早苗の側はとてもよく描かれていると感じた。
読んでいるときはとても楽しく読めた。
会話調で進む話はわかりやすいし、感情移入もしやすいし、コミカルだ。
でも、何でかはわからないけど、「もう一歩」と思ってしまう。
ストーリーにところどころ突飛なところを感じるからかな。
でも、スプラッタよりは遙かにまし。
読後感は切なくて、暖かくて、爽快。