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評価:
津村 記久子
角川グループパブリッシング
¥ 1,575
(2008-07-01)
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津村記久子さんの青春小説って初めて読んだような気がする。
今までの筋道立った文章とは違う
高校生らしい行き当たりばったりな口語調の日常。
音楽が好きで、好きで、それしか誇れなくても好きなアザミ。
自分の日常ををただただだらだらと話してしまい
それが嫌がられているのがわかっている、のにやめられない。
ついでにいつも余計なことを言ってしまう。
そんなアザミとつるむチユキ。
頭がよく努力家で比較的真面目なのに、
時々周囲が驚くような行動に出る。
高校生の世界は狭い。
学校という枠組みの中でおおよそが完結してしまう。
モラルに反するものを許せないチユキは
大学生を閉じ込めたり、女の子の髪の毛にガムをくっつけたり、
大胆に行動する。
まだ、高校生くらいじゃそういう価値感や正義なんて
本当にどれが正しいかわからなかった。少なくとも私は。
アザミは留年ぎりぎりのくせに英語のリリックをすらすらと翻訳できたり
音楽に関する知識なら負けないという強みがあるのに
周りからはうるさがられたり、ぽいと捨て置かれたり。
もっと広い世界があるよ。
そこを出たら、そこでの価値なんてまるっきり関係なくなるよ
きみたちはすごく素敵だよと
エールを送りたくなる。
成人を超えた今、それでも、
あの頃の出会いは貴重だった。
限られた世界だからこそ、今では付き合わないような人とも友達になれた。
面白かったけど、とりとめもない。
津村さんの小説は、大人が主人公の方がやっぱり好きかも。