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    • 2013.11.17 Sunday
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    ジーン・ワルツ

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      評価:
      海堂 尊
      新潮社
      ¥ 1,575
      (2008-03)

      新しい命が誕生すること。
      無事に生まれること。
      奇形がない「正常」な人間が生まれてくること。
      それがどれだけの奇跡であるか。
      数え切れないほどのステップを踏んで、遺伝子はワルツを踊って完成する。

      曾根崎理恵は帝華大学産婦人科学教室の助教で、不妊治療を専門としている。
      助教の食い扶持だけでは足りないため、ほとんどの大学病院勤務医は非常勤の医者として
      外部の病院でアルバイトをする。理恵もかつてから「マリアクリニック」という病院で不妊治療にあたっていた。
      大学が独立法人化されるという政府の無意味な政策により、
      地域医療は破綻しかけていた。
      「病気」でないお産は不測の事態が起こった場合に訴えられる可能性も高い。
      そうして、産院は少しずつ姿を消す。
      「マリアクリニック」も最期のときを迎えようとしていた。
      院長である、三枝茉莉亜の命と同様に。

      とてつもなく頭がきれ、冷徹だが深い情熱を秘めた理恵は「冷徹な魔女(クール・ウィッチ)」と呼ばれている。
      神の領域に踏み込んだ人工授精のエキスパートというのもその呼び名を高めている所以かもしれない。

      かつては理恵とともにマリアクリニックで勤務もしていた清川吾郎は理恵の上司で
      帝華大学で准教授を務めている。
      頭はきれるが、女たらしで無駄な努力は嫌う。

      産婦人科、ひいては病院そのもののあり方、現状、無根拠で自らを死に追いやるような法案を可決させた官僚たち。
      生んでくれと願う割には不妊治療には一切の保険が効かない。
      理恵は誰よりもその痛みを知っていた。
      だからこそ、彼女は大博打に出る。
      おもしろかった!!
      でも内容が濃すぎてまとめるの大変。
      あと、内容の感想以上に現実の世界に反映させて考えてしまう内容が多い。

      曾根崎という名前はどこかで聞いたことがあるなぁと思ったら、「医学のたまご」で出てきた少年と父の名だった。
      途中でゲーム理論の曾根崎伸一郎が・・・という部分が出てきてでやっと思い出した。
      伸一郎は理恵の夫。理恵と伸一郎はある意味で完全に別離し、逆に強く結びついている。
      理恵が子宮を失い、離婚をしてもそれは変わらない。

      日本では代理母出産が禁止されている。
      卵子を提供した人間ではなく、出産した人間が「母」として認められる。

      マリアクリニックで担当している最期の五人の患者たち。
      三人は自然妊娠で、二人は人工授精によって妊娠した。
      現実は、厳しい。意地悪だ。理恵は淡々と患者たちに事実を述べる。
      十代で妊娠し、最初は堕児を希望していた青井ユミは赤ちゃんの存在で驚くほど「まっとう」になっていく。
      が、彼女の子供は両腕がないという大奇形を抱えていた。
      経産婦である甘利みね子の子供は無脳症で出産してもすぐ死んでしまうという運命にあった。
      荒木浩子は何年も不妊治療を行い、今回やっと人工授精により妊娠した。
      そして、山咲みどりは55歳という超高齢で、双子を人工授精により妊娠した。
      清川は、山咲が代理母なのではないかと疑っていた。
      これは完全にネタバレだけど、山咲は理恵の実母。生んだ双子は忍と薫と名づけられ、
      薫は曾根崎に親権がわたる。


      優秀な遺伝子。因果は巡る。
      望む子は生まれず、意もしない子供が発生する。
      子供には罪がない。

      生物の誕生を人工的に作れるような時代になってしまった。
      この中ではそれはどちらかというと賛成的な意思を持って書かれているように感じた。
      できる技術があるなら使わない手はない。それはすごくよくわかる。
      でも、本当にやってしまっていいことなんだろうか。
      私は、代理母には反対しない。すでに技術ができているから。
      でも、それ以上の技術を作ってしまうのは恐ろしい結果を招くと思う。いつか。



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