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評価:
角田 光代
新潮社
¥ 1,575
(2009-03)
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流れていく恋の数々。
つながって、幸せな位置に収まったかつて流れていた最初の一人。
最後の一遍はそれを総括するような内容だった。
どれだけ手ひどく傷ついても、また人を想う。
角田さんの書く人間は角田さんにとって等身大の人間たちなのだと感じる。
妙にリアルで親近感が持てる。
自分だけが感じる決定的にいやなポイント
人に伝えても普通は変な顔をされるだけのそういう一つ一つを
上手に拾い上げる。
学生気分が抜けきらない花見の席で
もぐりこんでいたくまちゃんと苑子は出会った。
自由気ままな彼を置き留めようと努力する苑子。
出て行ってしまったくまちゃんは同じように自由気ままなゆりえに惹かれる。
ゆりえと過ごしたいがために定職につき、料理をする。
そんなゆりえは憧れていた歌手と付き合うことに成功して約束どおり出て行ってしまう。
こんな物語が続いていく。
ひとつずつ器用にボタンを掛け違えているような印象。
本気で手に入れたいと願う相手のために
みな同じように家を整え、生活を整えようとする。
が、相手は彼らにそれを望まず、別の場所で同じことをする。
ずっと一緒にいるためには生活という基盤が必需品で、
生活は恋とは異なる。
生活をするために結婚をするなんて最初は思わないけれど、
結婚は生活なんだよなぁ。