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評価:
小川 糸
集英社
¥ 1,470
(2010-12-03)
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心も体もゆっくり緩むような物語。
暖かくて、やさしい。
小野寺君とのの思い出の島に一人でやってきたまりあ。
唐突にいなくなり、仕事も辞めていた夫。
ぼんやりと島をさまよっていた彼女に声をかけたのは、「つるかめ助産院」で院長をしている鶴田亀子。
お昼に誘われ、パクチー嬢と呼ばれる女の子の手料理を食べ
診察室に呼ばれ、妊娠していることを告げられる。
島の女性の出産に立ち会わせてもらい、
優しい人々の中で数日を過ごした彼女は先生の言葉に甘え、また島に戻ってくる。
助産院で働きながら、お腹の子を育む毎日。
ゆったり流れる時間の中で、独特の言葉の中で、
出てくる人の年齢や性別はひどく曖昧でみんな子どもみたいだ、と感じた。
まりあの複雑な生い立ち。
わざわざ日本に来て学ぶパクチー嬢の秘密。
先生の過去、サミーの境遇。
辛いものがあってもその場所ではみんな自然に身を任せて
優しく、楽しく笑っている。
私もそんな中に加わりたいと思った。
自分にとってリアルタイムな話なので、重ねながら読んだ。
最後は少し、泣いた。